小説:所有するもの(3/3)
2008 / 07 / 23 ( Wed ) 19:56:01
欲してくださる方すべてに捧げる三部作の第三弾。
トリックスター0より、狸羊の18禁小説です。 呼んでくださるという方は、追記をクリック!です。の。 所有するもの(1/3) 所有するもの(2/3) 所有するもの(3/3) ←今記事
-----------------------------------------------------------------
【所有するもの】 3.所有するもの 女なんて、面倒なだけだ。 そう思っていた。 まったく、世の中には様々な人間がいることを知っていたはずなのに、どうして女にはそれを当てはめられなかったのか。 拒み過ぎたから、求めようとは思わないけれど。 来るものは、もう、受け入れてもいいだろう。たとえそれが女であっても。 欲しいものは、2つ。 美味しいご飯。 暖かい寝床。 それだけあれば、他はどうだってよかった。 でも、3つ目が、加わってしまった。 魅惑のラクーン。 今日のラクーンは、なんだか変だ。 シープは、まずそう思った。 昨日、お客さまと激しくやり合っていたのは知っている。その声は彼の部屋にいたシープにまで届いたから。それがどうというわけでもなかった。眠くなったから寝ていた。起きたら隣にラクーンがいた。お客さまの姿はない。 それが今朝のこと。 ラクーンは珍しいことに、自力で立てなかったのだ。心配するシープに、ラクーンは「いつものことだから」と笑う。シープに肩を貸して欲しいといったので、彼を支えながら店のカウンターまで連れてきた。 それからラクーンは、気だるそうに座っているだけだ。本当に消耗しているのだということは、見ればわかった。仕方がないので、シープは自分で朝ごはんを作った。どうやら食べるのも億劫らしい彼に、手ずから食べさせてやると、ラクーンは少し元気を取り戻したようだった。 「ありがとうございます、シープ。いつもは、こうやってご飯を食べることも出来ないのですよ」 「いいの」 料理なんて長らくしていなかったから、味には不安がある。ラクーンには、それを感じるだけの余はないだろうと、シープは結論付けたけど。 ラクーンは、彼女にドラゴンの話をしてやった。 ドラゴンは凄腕のダークロードだ。まだラクーンがカバリア島に来た頃、二人は出会った。魔物たちに囲まれていたところをドラゴンに助けてもらったのだ。彼はラクーンを一目見たときから気に入ったらしく、その後あれこれと世話を焼いてくれた。そうしてラクーンの望みが静かな暮らしにあることを見抜いた彼は、Caféを開いたらどうかと持ちかけてくれた。どうやら島の管理部ともコネがあるらしいドラゴンは、格安で“マイキャンプ”とCaféに必要な家具類を調達してきた。さらに開店資金も惜しみなく払ってくれたのだ。 ラクーンを最初に抱き、その身体に一つ一つ快楽を教え込んでいったのも、また彼。ラクーンの中に眠る性癖に火を付けたのも。それ以来、ラクーンは知る人ぞ知るCafeハイラのマスターとして、冒険者たちを迎え、受け入れ、ひとときの癒しを与えている。 そんな話を、シープは興味深そうに訊いていた。 ふと、ラクーンは彼女の過去も気になった。直接訊くのも面白くないから、いつかその身体に訊いてやろうかなどと、不遜な考えを抱く。 カラン、と店の扉の鐘が鳴った。 「おはよう」 入ってきたのは、ドラゴンだった。 ラクーンは座ったまま、笑みを浮かべる。 「昨日の今日とは珍しい。そんなにわたしの身体が気に入りましたか?」 「俺はもともとお前に惚れてるぞ」 「勿体無いお言葉。他の数多の者たちが欲しがっているだろう言葉を」 シープは、店の奥に引っ込むべきだろうか、と少しだけ迷った。いつもならすぐに引っ込むのだが、今日はラクーンがこの状態だ。客が来たというのに、立とうともしない。立てないのだ。ならば、自分がフォローするしかない。 「ご注文は?」 「いつものをもらおう、可愛いお嬢さん」 ラクーンがすぐに指示をする。ドラゴン好みの紅茶を、シープは危なっかしい手つきで淹れた。 「どうぞ」 しばらくは静かな時間が流れた。紅茶を飲むまでの間、ドラゴンは一言も話さなかったし、ラクーンはうつらうつらしている。シープはふと思いついて、奥の部屋からストールを持ってきた。それをラクーンの肩に掛ける。 「その様子じゃ、今日は無理だな」 ドラゴンが言った。 ラクーンが応えるように、目を開ける。 「すみませんね。年なのかも知れません」 「いや、俺もいじめすぎたかもな。反省はしてないが」 空いたカップをシープが提げに来る。ドラゴンは、彼女を一瞥した。今日の目的は、ラクーンではなく彼女なのだ。ドラゴンは、ラクーンに訊く。 「この女をいただいてもいいか?お前を落とした女だ、さぞかしよい女なんだろ」 ラクーンはシープを見る。彼女は、やはり何の感慨も見せなかった。ただただラクーンの答えを待っているようだ。 ラクーンは、乱暴にしないこと、という条件をつけて、彼女をドラゴンに供することにした。減るものでもないし、シープは最早Cafe側の人間なのだ。 「客に注文するのか?」 ドラゴンは笑っている。ラクーンはさらりと言い返した。 「当然です。まだ店に出していないシープを先に味わうんですから、多少は我慢してください」 「そりゃそうだ」 シープはお盆を置くと、ドラゴンに近寄る。どうすればいいのか判らないが、おそらく向こうで好きなようにするだろう。実際そうで、しばらく経った頃にはシープはすっかり彼の腕の中に閉じ込められていた。 荒々しい愛し方だった。ラクーンを愛するときほどひどくはないものの、シープは何度も窒息寸前の苦しさを味わった。ドラゴンが、特に彼女の唇を愛したためだった。それでも彼の愛撫は巧みで、痛みと背中合わせの強い快楽を彼女にもたらした。 少しずつ、シープの声が大きくなってくる。 ラクーンはそれを、何を言うでもなく静かに見ていた。 シープは決して反抗しない。ラクーンに抱かれたときも、こうしてドラゴンに抱かれているときも。そうして、受けた愛の数だけ身をよじり啼く彼女の姿は、艶めいていて美しかった。そんな彼女が、自分のものなのだ。そう認識した瞬間、ラクーンは喜びを感じた。宝物を人に見せびらかしたくなる、人なら誰でも持っているあの感情が、心を満たしていく。 従順で単純なシープ。可愛いシープ。ラクーンは、彼女をここに寄越した運命に感謝した。それだけ、彼女は美しかった。そう、彼女の真価は、誰かの愛を受け入れているときにあるのだ。それは、ラクーンと同じ種類の魅力だった。 「ああああーーーーーーっ!!!」 甲高い声が店を満たす。同時に、ドラゴンが彼女の中に精をぶちまけたことがわかった。シープが絶頂に達したのだろう。実に彼女は判りやすかった。 その頃には体力も回復していたから、ラクーンはぐったりしたシープを抱き上げた。裸の乳房に、唇を寄せる。所有のあかしを残してから、彼女を奥の部屋に運んだ。 「ラクーンがへとへとになったの……わかるわ。あの人、凄すぎ……」 シープはそれだけいって、眠りの世界に引き込まれていく。 戻ると、ドラゴンが脱ぎ散らかした彼女の服を綺麗にたたんでいるところだった。抱いているときの激しさとおおよそ似つかわない仕草である。変なところが几帳面なのだ、彼は。 「いい拾い物をしたな」 ラクーンに彼女の服を手渡しながら、ドラゴンはにやりと笑う。 「自分から飛び込んできたんですよ、彼女は」 そのいきさつを話してやると、ドラゴンは目を見開いた。 「不思議な女だな」 「ええ、まったくですよ」 彼女は自分のものだから、ドラゴンにそう言ってもらえたことが、単純に嬉しい。ラクーンはかつてドラゴンを魅了した笑みを浮かべる。気付かないままに。ドラゴンもまた、嬉しかったのだ。女を知ることで、ラクーンの魅力に深みが増したことが。かつて見出した原石が、こうも輝く二つ星の宝石になったことが。 「まったくですよ」 ラクーンは自分に言い聞かせるように、再び呟いた。 きっと今頃は夢の中にいる彼女。 そう、女も、そう悪いものではない――。 ----------------------------------------------------------------- 何で三部作なんて、長くなってしまったのでしょう? きっと、狸への愛と羊への愛が両方ミックスされたから、ですね。 にょほほほほ。 感想なぞくださると、喜びます。 以上、ラニッシャでした。 |
|
|
|
* HOME *
|


